ダイバーシティ

ダイバーシティ&インクルージョンについて色々思ったことを書いたブログ

営業本部でのダイバーシティ推進活動 8

 営業本部での活動として、ネットワークの活性化やメンタリング・プログラムの開始など、色々新しい取り組みを行った。それなりに効果を発揮したものもあったし、すぐには芽が出てこない活動もあった。

 その中で一番印象に残っている活動として、「営業本部ダイバーシティ・フォーラム」が挙げられる。これは、女性社員とその上司を対象参加者として、丸2日ダイバーシティに関して考えるというフォーラムだった。総勢100名を超える参加で、男女比率は約半々だった。

 本部長の強いサポートもあり、組織も本人も無意識に眠らせている女性の能力を最大限発揮させるために何ができるかプランを練った。プログラムの内容は代替下記の通りだった。  

米国本社の女性ディレクターのスピーチ
彼女も若い頃ロールモデルが身近にいなかったが、グラスにあと半分しか水が残っていないのか、まだ半分も残っているのか、物事の見方で行動は変わる。前例がないからと諦めるのではなく、前例がないから、初めてのケースになれると前向きに捉えるのか、聴いてて元気になるようなエピソードを語ってもらった。
 
日本の他部署の女性ディレクターのスピーチ
営業本部は女性が少なく管理職も少ないが、他の部署では既に多くの女性が活躍していた。その中でマーケティング本部の女性ディレクターに、夫婦間での分担や、子育ての工夫、上司とのコミュニケーションのコツなど語ってもらった。
 
パネルディスカッション
前述の米国本社の女性ディレクター、米国本社の営業本部の人事部長、日本の営業本部長などにダイバーシティの重要性や具体的な米国での活動やリーダーの本気度など語ってもらった。
 
分科会(トレーニング、ワークショップ)
女性社員、女性社員を部下に持つ上司の2つに分けて、トレーニングやワークショップを実施。
女性社員のワークショップでは、会社の柔軟な働き方の制度、評価制度やワークプランの意図や仕組みを詳しく説明したり、色々な質問に人事部が答えたりした。 一方、上司のトレーニングでは、女性の部下との接し方で、実際何を困っているのかグループディスカッションで全部出してもらったり、個別面談のロールプレイをしたり、コミュニケーションの質を高めるトレーニングを行った。
 
昼食会(ランチセッション)
いろいろな部署(法務、ファイナンス、購買、工場など片っ端から)の女性管理職に来てもらい、ランチタイムにテーブルごとに入っていろいろ話をしてもらった。これがきっかけとなって後日メンターになってもらった人もいた。
 
 2日目の夕方、分かれていた参加者が一堂に集まり、本部長が最後にまとめのスピーチをしているのをぼくは会場の端っこで眺めていた。
 ぼくの目の前には、10人ずつのテーブルが10卓、それぞれ男性と女性がほぼ同じ人数で座り、女性が隣の同僚と自然な微笑みを浮かべながら上司と話をしていた。
 採用した時は活発だったのに、久しぶりに会った時とてもおとなしくなっていて、本社にいてもあまり評判が聞こえてこなかった入社2年目の女性が、本部長のスピーチの後、手を挙げて100名を超える会場で発言をした。今回のフォーラムに関する前向きな感想だった。
 ぼくは、隣で一緒に眺めていた、営業人事部の女性に「こういう環境になるのが理想やねん」とポツリと呟いたのを憶えている。
 「女性が多くて、活気があっていいな」なんて、そんな気持ちや満足はこれっぽっちもなかった。
 男性がどうとか女性がどうとか、そんな事誰も考える必要がなく、ただ一人ひとりの個性に注目し、期待しているそんな環境…。女性の誰それじゃなく、一人ひとりが個性を存分に発揮している環境…。
 ぼくのビジョンが、明確になった瞬間だった。
<次回へ続く>